Archの映画レビュー【サマータイムマシン・ブルース】

題名:サマータイムマシン・ブルース
公開:2005年


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 <ストーリー>
四国の地方大学の一角で野球に興じる「SF研究会」の学生達。その姿を写真に収めているカメラクラブの女子学生。
彼らは部室を共有しており、夏休み期間にも関わらず、部室に通いつめていた。
野球で汗をかいたため、近所の銭湯で汗を流し、ちょっとした用事があると部室に戻る部員から離れ、遅れて戻ってきた甲本。そんな彼に部員たちは『約束の罰ゲーム、裸踊りを見せてもらうか〜』と部室の一角にある暗室にいたカメラクラブの女子2人を連れてきて、盛り上がっていた。
『約束…?』そんなものをした覚えがなく、困惑する甲本。そんな中、盛り上がっていた部員同士がぶつかり、まるでドミノ倒しのように連鎖していき、新見が持っていたペットボトルのコーラが机に落ち、クーラーのリモコンに大量にかかって、壊れてしまう。
リモコンはこれひとつしかなく、クーラー本体に操作ボタンはない…急ぎSF研顧問のホセにリモコンの修理を依頼することに…

翌日…
茹だる猛暑の中、クーラーが動かないことへの苛立ちを口にする面々。カメラクラブの2人は、暗室で昨日撮った写真を現像していると、おかしなものが写り込んでいることに気づく…
そんな中、SF研の部室に見慣れる機械が置いてあることに気づくメンバー。見るからに「タイムマシン感」が強いソレを見て、先程部室前で挙動不審な男がいたのを思い出す。
『SF研だからタイムマシン!!』とその男が仕掛けたつまらないギャグだと一蹴するも、ノリで『曽我…乗って』と無理やり曽我を座らせてみる。これで君もタイムトラベラーだとか、Tシャツに「PILOT」と書かれているのイジったりしていたが、曽我がレバーを倒した瞬間、曽我とタイムマシンは皆の前から消えてしまう…
部室中をくまなく探すが、曽我はいない…
すると曽我とタイムマシンが現れる。が、曽我はかなり混乱しているようで『今はいつですか?』と不思議な質問をしてくる。曽我は『昨日は今日で、今日が昨日に』と意味不明なことを呟いき、『野球…グラウンドで皆が野球してた』と言う。それは昨日の事であり、今日は野球はしていない。
するとカメラクラブの伊藤が、先程現像した写真を皆に見せる。そこにはグラウンドで躍動感なく野球をしているメンバー…を部室の隅から覗いている曽我の姿が!!曽我は野球をしている自分を見ていることになる。
『これ…本物のタイムマシン!?』皆で興奮している時、気に入ったものを盗んで部室に飾るのが好きな石松が気づく
『昨日に行って壊れる前のリモコンを盗ってくる』そうすれば、クーラーが動かせると。
新見、小泉、石松の3人がタイムマシンに乗り込み、ミッションを遂行することに。
か、実際に過去に行ってみると、ミッションそっちのけで『昨日』の世界を楽しみだしたのだ…
『今日』に残ったメンバーの前に、挙動不審の男、田村が現れる。
田村が言うには、2030年からやって来た未来人なのだと。
2030年にはタイムマシンが作られている事に興奮するメンバーだが、田村は『このタイムマシン…SF研の部室にあったのをノリで使ったら過去に来た』と、まるで自分達と同じ事をしているのだった。
過去を探索した田村がタイムマシンを使い、未来に帰りたいというが、自分達の仲間が『過去』に行っていると伝えると『…怖いもの知らずですね』と言われてしまう。
すると、タイムマシンが帰ってきた…が、誰も乗っておらず『楽しいからキミらも来い』と手紙が貼り付けてあった。
甲本達は田村を連れ、近所を散策しに行く。
田村は未来人のくせに、なぜか旧式のカメラを使い、それで『過去』の風景を収めていた。
田村の母は、大学近くにある未来にはなくなっている名画座に通っていたのだという。そして田村は、昔の母に会おうと考えるが、甲本は『会ったら産む気がなくなるかも』と思いとどまらせる。
ここでカメラクラブの柴田がある疑問を持つ…
『3人が過去からリモコンを持ってきたら、おかしなことにならない?』というものだ。
そこに、SFのことを話していると勘違いした名画座館長と談議していると、ホセが現れ、『そんな事、不可能だ!!』と一喝する。ポンコツだと思われていたホセは、もともと相対性理論を専攻していたのだ。
大学の講義堂で、相対性理論について皆に説明する。
そして『もし、仮にそんなことが起きたらどうなるんですか?』と質問すると…
ホセは、黒板に書かれた物全てを消し『宇宙全てが消える』と言ったのだった…

自分達の『クーラーを動かしたい』という能天気な行動が、全てを消滅させることを知らされたSF研とカメラクラブの面々は、急ぎ部室に戻り、『昨日』に行った3人を止めることに……


 <感想>
今やテレビや映画に出まくりの俳優さんが多数出演している作品。
瑛太(現:永山瑛太)、上野樹里真木よう子佐々木蔵之介ムロツヨシ(本作でスクリーンデビュー)が、どうでもいい事にタイムマシンを使い、小さなトラブルを起こし、それをキッカケに宇宙消滅の危機に瀕し、右往左往するお話。

予め伝えておきます…この映画は2回観てください。1回目でストーリーを頭にいれ、2回目はそれを踏まえた上で、いろんなところに目を向けて鑑賞してください‼
『おぉ〜こんなん写ってんのか〜』とか『あ!ここでこんなんなってんだ〜』とか、ニヤリとしながら観ることが出来ます※私は劇場で2回、DVDでも6回観てますw
あと、劇中、「神様」と思われる人物が要所要所で出てきます。ぜひ探してみてください。

タイムパラドックスとかを扱う映画は沢山ありますが『ちょっと理解できなくて苦手』とか『どこがどうなってるかわからないから諦めてる』とかいう人がいたら、まず、取っ付きやすいこの作品を薦めてください。
途中と最後に、わざわざ図解で事の顛末を書いて説明するシーンがあります。すごく分かりやすいです。
個人的には、お笑い芸人ホームチームの与座さんが、宇宙消滅そっちのけで自分のシャンプー(ヴィダルサスーン)を探していることや、状況を飲み込めず置いてけぼりを食らってるシーンとかが好きです。
あと、ハリキリスタジアムw
オチは、意外とワチャワチャせず、しっかりまとまり、今回の騒動に対しての総括のような言葉があり、しっかり締められていて、かなり良かったです。
エンドロールも、オシャレな演出で最後まで楽しめます。

この作品、原案はヨーロッパ企画の演劇なんですが、演劇っていうこともあり、大きなタイムマシンをセットで用意できなかったため、ビート板に色々くっつけたものを『タイムマシン』として使っていたり、かなりシュールな部分もありますが、面白いです。映画にも、ヨーロッパ企画の役者さんが出ていたりもします。最近になって、続編として『サマータイムマシン・ワンスモア』が作られて、上演されたようです。残念ながら、機会がなく鑑賞出来ませんでしたが、DVDとBlu-Rayが販売されているので、いつか観たいと思います。